大阪府立桜塚高校の「国際理解」クラスにて特別授業をして来ました

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日本やアメリカで年数回やらせていただいている高校や大学での特別授業。

今回は大阪オフィスから一番近い高校でもある「大阪府立桜塚高校」にて授業をやって来ました。

桜塚高校では、グローバルスタディコミュニケーション(GSC)というコースがあり、その中の「国際理解」の授業にゲストスピーカーとして呼んでいただきました。

担当の先生には「アメリカからみた日本」という様な視点で話して欲しいというご依頼をいただきましたが、そのポイントを押さえつつ、「真の国際人に求められる力」という題で45分x2コマ分の計90分間色々話して来ました。

Why Japanese People?!

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授業は2コマ分あり、間に10分休憩が入ることも含め、どの様な流れで話すのが効果的かを(本当に)あれこれ思案した結果、ある”仕掛け”をすることから始めようと思いました。

その仕掛けというのは、「アメリカから見た日本」として、芸人の厚切りジェイソンさん(以下敬称略)のネタである、「Why Japanese People?!」というアレを紹介した後、いろんな人の「日本人のなんでやねん!と思う話をばらまいた後に、実はこれ、

お笑いのネタとしては面白いかもしれないけれど、”国際理解”という観点で考えると、違うんじゃないか?

と思うんだよね、という話をしたんです。

どういうことかというと、厚切りジェイソンのネタでは、特に漢字について、日本のあらゆる文化を「WHY???」と嘆き、叫んでいますが、それって、アメリカ人であるあの人があの人の価値観でものを見た上で、理解できないから叫び、わかんない、意味不明!と言っているんですよね。

わかりますか?これって、彼の価値観の押し付けでしかないんですよ。

ボクはこの点を「気づくことができたか?」と高校生たちに問いかけました。

ちなみに、Why Japanese Peopleと思う話について、結果的には壮大な”フリ”となっていますが、中身に手抜きはありませんよ。

多くの人に聞き込みもしたし、話した話は高校生たちにとって意味のある内容である様に精査していますし、なんならそこだけで2コマやってもいけるだけのネタでした。それだけでも成立させられます。ボク、話上手いんで(笑)。

でも、なんか唐突にこの”仕掛け”を思いついてしまったから、今回の授業の準備は時間かかりました(苦笑)。彼らに伝わっていればいいんですが、、。

気づき・考える力・問題解決力

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世界で戦える人材に成長する上で大事な力って色々あると思うんですが、僕=EXSでは、主に2つの力に注目していて、それが、

考える力

問題解決力

なんですが、これに加え、様々なことに気がつくことができること、つまり「気づき」も大事な力の一つということで、Why Japanese Peopleと叫ぶネタはネタとしてなら面白いけど、国際理解ができる世界的な視野で活躍できる人になりたいなら、それではダメ、ということに気がついた生徒がいたかどうか?ある意味試したんですね。

もちろんボクの思惑(想定)では、それに気づける子はいないはずだったので、レスポンスが薄いことは想定内。

ただ、ここを指摘されて、「ハッ」となれたか、ピンとこなかったか、はもしかしたら資質の差が出るところかもしれませんが。

とにかく、今、EXSではこの「考える力」「問題解決力」を鍛えるプログラム作りに頑張っているので、そこについて話を展開しようという考えで前半に「気づき」についての仕掛けを入れました。

異文化はどこにある?

前半、Why Japanese Peopleと叫ぶことは国際理解からは程遠い、真逆に近いものだと説明し、国際理解のためには、「違う」ものを知り、理解しようという姿勢が不可欠なのだと話しました。それは、国際理解というのは実は異文化理解とも言えるのだよ、という話でした。

さて、後半は二択の選択肢から自分が「どっち派」かを選び、意見を戦わせるというアクティビティから始めました。

よくやりますよね?

イケメンだけど貧乏な彼氏と、ブサイクだけどお金持ちの彼氏、どっち派だ?とか、もっとシンプルなのだったら、ウンコ味のカレーか、カレー味のウンコどっちが食べたいか?とか。

愛かお金か?

実際、やってみるとわかりやすいだろうからやってみたんですけど、今回は「愛かお金」のテーマでやってみました。

それぞれの派閥に分かれてもらい、なぜ自分がそっちの派閥なのか?を反対側に主張し、それぞの主張の後に反論をするという競技ディベート的なアクティビティを企画しました。この意図については後述しますが、結果的にいうと、

二択でもグダッた感

があってそこは割と想定外でした、、、、(苦笑)。

目玉焼きに何つける?

続いて、今度は、「目玉焼きにつける調味料」というテーマで2つ目のアクティビティへ以降。

ま、グダッたのはアレでしたが、こちらのアクティビティがうまくいけばOKという構成にしていたので気を取り直して頑張りました。

目玉焼きってまあ、卵アレルギーだったり食べるのが嫌いという人以外、多くの人が食べたことはあるしなんなら結構頻繁に食べるものですよね。

しかし、実は何をつけて食べるか?ということを話ししてみると、

「え、そんなんかけるん?」

っていうような答えが返ってくる、面白い食べ物なんですよ。

ボクは多分ベタな子で、醤油派なんですが、今回の声の中で意外やな!と思ったのは、ごまドレかな?

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上のランキングは、Oricon Newsが行なった調査の集計ですが、やっぱり醤油が一番多くて過半数、あとは塩コショウ派、そして塩だけとこの二つを足すと50%を超えますね。複数回答なんで合計が100じゃないのですが、3位のソース以下は少しレアキャラという感じになる中でごまドレ派はいないので意外に思ったのもおかしくなかったのかも知れません。

桜塚高校では、醤油、塩こしょう、ポン酢、ソース、ごまドレ、そしてケチャップという5派閥になりました。

それぞれの代表に「その食べ方の素晴らしさ」を一巡語ってもらい、その後反論や相手を自分の食べ方派閥に変更させられるような誘惑ができるなら語ってください、と意見を求めました。

やっぱり消極的に感じましたが、客観的にみていた大人の声では、「生徒は楽しくやっていた」様です。

さて、この二つのアクティビティ、まあ、楽しくやってもらえたならそれはよかったのですが、ボクの仕掛けた狙いは、そこではないです。当然。

ボクが「気づいて」欲しかったのは、そこにいた16名の高校生の中にも「異文化」はあるということ。

同じ17, 18歳の同じ高校生、同じ学校に通う、同じ大阪府民ですが、そんな小さな社会の中にも目玉焼きの食べ方の違いという異文化が存在することにアクティビティをやりながら気づけた子はいたのでしょうか?

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自分の卵の食べ方についてアピールしているところ

いなかった方が狙い通りなのですが、説明してもピンと来ていない子がいたなら、、、ボクが下手くそだったのか、国際感覚を得るのに苦労するだろうタイプなのか。まあとりあえず狙いとしてはそこに気づかせたかったわけです。

シェアハウスに見る「世界の縮図」

日本ではレアですね、シェアハウス。

でも、アメリカでは一般的な住の形態です。

そんなシェアハウスを例に、世界の縮図である「Small Society」の話をしました。

シェアハウスでは、複数の”他人”が同じ家に住みます。

もともと友達同士ということもありますし、恋人が混ざることもあります、兄弟のこともあり得ます。しかし、大体は他人同士が一緒に住むのがシェアハウスで、それぞれは違う文化を持っているのが当然なんです。

つまり、シェアハウスに4人住んでいる場合、そこには4つの異なる民族がいる様なそんな感覚なんですね。仮に全員が同じアメリカ人だったとしても、人種が違ったり、宗教が違ったり、育った街や、目玉焼きの食べ方が違うんです。

トイレットペーパー戦争

そんな異文化共存の世界では、時に異文化間衝突が起きます。

その一つが、トイレットペーパーなんですよ(笑)。

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これ、実際ボクが住んでいた家なんですが、「気づき」ますか?何か、おかしいところ。

今、おかしい、と書きましたが、”おそらく”多くの日本人の”常識”ではおかしいと思うだろうという前提でそう書いています。

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解像度の問題で別画像を用意しましたが、これがその”おかしいところ”です。

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日本の人はほとんどが、こちらが「正しい」と思っているはずで、上の方は「逆」って感じるはずです。

しかし、アメリカでは少数派ではありますが、確実にこの「下派」がいるんですね。

で、お互いが相手について、「なんでそっちがいいのかわからない」って言ってます。

なので、シェアハウスで誰か一人でも逆派の人がいると、「戦争」が起こっちゃうんですよ。

そのことは「bathroom, paper, up side down」なんかでネット検索すればいろんな話が出てくることで間違い無いのですが、じゃあそんな「戦争」をどうするか?っていうのが実は、「考える力」と「問題解決力」の話に繋がるんですよ。

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検索していたら出て来た画像の一つ

ゼロベースで考える力

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この件については改めて別記事にした方がいいかと思うのですが、ボクは日本式教育方針、つまり、現在の教育指導要領では「考える力」、そして「問題解決力」は備わらないだろうな、と思っています。

これはいいとか、悪いではなくて、現実を直視しての思いだけです。

しかし、ボクたちは今後の若い世代にこの力は必要だと感じていて、日本が世界でリーダーシップをとり続ける国になることにも繋がる課題だと考えています。

なので、こうした授業でもそこを伝えたくなっちゃうんですね。

で、ゼロベースで考える力って何?って話なんですが、実例があるとわかりやすいと思うので出して見ると、例えば、デートするとして、

「遊園地と動物園、どっちがいい?」

って聞かれるのと、

「どこで何したい?」

って聞かれるのだと、多くの日本人は前者の方が答えるのが楽なはずなんです。なぜなら、そこにはすでに選択肢があって、選ぶだけだから

もっと難しい感じの例を出してみましょうか?学生が読んでいることを前提に話題を選ぶとするなら、文化祭の出し物を決める会議とかどうですかね?

「焼きそば屋さんと、射的場だったらどっちにしたい?」

って聞かれるのと、

「今まで誰もやったことのないお店をやりたいんだけど、何かある?」

って聞かれるのと、どっちが楽ですか?いや、きっとこの質問なら、後者に対して何もアイデア(提案)を出せない人がクラスに半分以上いるはずです。

日本だったらね。

ボクも日本人と働きながらこれを幾度となく経験して来ました。

例えば、新しく立ち上げたホームページのテーマ色を決めたかった時に、「若者に受けるようなポップな色合いがいいよね」というある程度の縛りを出した上で「2色でテーマ色決めよう、何色がいいかな?」と聞いたのに、全く声が出ず、、、。

もうね、

適当でもええやん、なんか言えよ!

って叫びそうになりました。

でも、それがジャパニーズピーポーの典型っぽいんで、諦めました。その場は(自分で決めた)。

実は、アメリカの超有力企業に勤めるある日本人と新しいプログラム作りについて話をしていた時に、彼がこの「ゼロベースで考える力」について話してくれたんですよ。日本人はこれが本当に欠如している、と。

ボクもそれまでこれだけ具体的に言葉にまとめられずにいましたが、感じてはいたことだったので感動し、ここに対して自社で作るプログラムにおいて何かしたいという思いが湧き上がりました。

国際理解に通じる能力があればどんな場所でも戦える

この日、そこにいた高校生たちはどのような思いでそこにいたのかはわかりません。

将来海外で仕事がしたいのか、国際理解ってなんかかっこいいとか思ったのか。

正直、国際理解ができなくても死にませんよ。

立派に人生終えるでしょう。

しかし、先ほどの「社会の縮図」という例でわかっていただけたかな、と思う通り、国際理解、つまり、異文化を理解できる力、異文化と共存できるためにゼロから何かを考え、そして考えたものを使って「問題解決」できる力というのは国際理解が関係ない場でも使えるんですよ。

だって、目玉焼きの例で紹介した通り、同じ高校の同じクラスの中にだって異文化は存在しているんですから。

逆にいうと、小さな社会に存在している異文化の中で「考える力」を使い、「問題解決」を続けられることは国際理解というテーマで必要とされる力と同じで、国際理解が可能な人材は、身近な多くの問題を解決し続け、どんな場所でも他を圧倒する存在感を示せるはずなのです。

まとめ

  •  国際理解とは異文化理解である
  • 違うことを知り、リスペクトすることが大事
  • 異文化はすぐ隣にも存在している
  • 「気づけること」もスキル
  • 異文化との共存には「考える力」と「問題解決力」が不可欠

今回の授業のポイントをまとめるとこんな感じですね。

そういえば結婚歴10年になる友人に「嫁とここは理解しあえないって思うことない?」と聞いた時に、「基本的にないけど一個だけあるんだ」と言っていたのを思い出しました。

その一個というのがトイレの蓋で、どっちがどっちか忘れましたが、使い終わった後に蓋を開けとくか、閉めておくかという真逆の方針だそうで、片方は、”気持ち的に閉めていたい”と言い、片方は、”どうせ使うとき開けるのに、存在自体不要と思う”と言うらしいです。

それぞれの主張、客観的立場で聞くとどっちも「わかる」ってやつですよね。でも、実際は真逆の考えだから難しい。

結婚生活10年でもこういう課題ってあるんですよ。

異文化は身近にあり、そして理解することは簡単ではない。いい例じゃないかなと思いました。

とりあえず、今回の授業では、「世界一受けたい授業」を目指したのですが、自分の中では「伝えたかったこと90%達成」という評価で、2, 3箇所「失敗したなー」と思っています。1週間後に生徒たちの感想が回収され、おそらく10日後くらいにボクの元にフィードバックが届く感じだと思いますが、生徒たちの心に何か残せたのか、感想が待ち遠しいですね。

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