桜塚高校「国際理解」クラス特別授業からの感想文を読んで

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こんにちは、EXS代表のLeoです。

先週、大阪オフィスお膝元の桜塚高校で国際理解クラスの授業をしてきたことを報告しましたが、その授業を受けた生徒たちからの感想が届きました。

 icon-external-link-square 大阪府立桜塚高校の「国際理解」クラスにて特別授業をして来ました

正直、合計90分の授業に対してボクが費やした時間は10倍以上かもしれず、準備に対して生徒たちの反応の薄さに、「壮大に滑った?」という懸念がありましたが、感想文を読ませてもらって、ある程度は狙い通りのことが伝えられたかも?と思えて少しだけ救われました。

授業の内容については前回の記事をご覧いただければわかりますが、今回は気になったフィードバックを紹介してみようと思います。

一番多かった感想

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授業の後半、「目玉焼きにつける調味料」についてグループわけし、簡単な即興ディベートを行いました。多くが醤油か塩こしょうをつけて食べる中、このクラスでは、ソース、ごまドレ、ポン酢、ケチャップと合計6派閥に分かれました。

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Oricon Newsの調査結果はこんな感じでした

このアクティビティでは、十数人という少ない人数、しかも同じ学年の高校生同士の中でも違った文化は存在しており、国際理解に通じる異文化理解の世界は、遠くの国に行ったり、遠くの国の人の話を聞いたりしなくても、身近に存在していて常に触れられるところにあるんだということを気づかせる狙いを持っていました。

この仕掛けについて、「わかりやすかった」というフィードバックがとても多く、この例と即興ディベートを思いついた自分に対して狙い通り行けてよかったなと思いました。

生徒の声

私は目玉焼きはしょうゆかソースが、刺身に醤油をつけるのと同じくらい普通だと思っていました。だけど、塩こしょうの人、ぽんずの人、ケチャップの人とかもいて、すごく驚きました。

だけど、異文化理解とはだいたいこういうことで、自分があたりまえだと思っている習慣や文化を持っている人がいるのだと感じました。

Comment:多くの人が、おそらく「自分の家ではこれが普通だった」という理由から世間も同じくそれが普通と思っている”我が家ルール”というものがあって、目玉焼きにつける調味料もその一つの場合が多いのですが、それに気づくのは多分一人暮らしをしたり、他人の家で目玉焼きを食べる機会を持つときで、高校生でそこに気がついている人は少ないだろう、という考えからこの題を思いつきました。

素直に驚いて、そして、「気づいて」もらえたのが狙い通りで、かつ、それこそが異文化理解につながることだと感じてもらえてよかったです。

私はしょう油派なのですが、ケチャップをかけるというのは初めて聞いたので試してみたいなと思いました。私は、この授業でいきなり国際理解していくのではなく、身近な問題に目を向けて、違いを理解していく事が大事なんだなと思いました。私は、まず日本での文化の違いを発見し、理解していく事から始めようと思いました。

Comment:今回お話ししたことの中に、「気づき」というキーワードがありましたが、何かに気づくことは時に難しいものです。目玉焼きのアクティビティは、1、身近な異文化に気づいてもらうため、2、そんなに身近にあったことに気づかなかったことに気づいてもらうため、という2つの気づきポイントがありました。初めて聞いた食べ方を「変だな」とか、「気持ち悪い」と感じてしまうことは仕方ありませんが、そういう人もいるという視点で、「試してみたい」と思える心が今度はもっと広い世界で異文化に触れる時に「理解」へとつながる一歩かもしれません。

自分は「ケチャップ」or「マヨネーズ」しかだめというよりかむしろそれ以外の調味料はありえないものだと考えていました。しかし、いざ分かれてみると自分と同じ人が少なくてびっくりしました。その人たちの主張を沢山聞いて見ましたが、(中略)他の人の食べ方も実践してみようだとかは正直全く思いませんでした。(中略)

このことから、自分の信念(?)文化は簡単に変えれるものではないなと思いました。私は「そんな人もいるんだな」くらいの気持ちで受け止め終わったのでよかったですが、これで自分の意見を貫きとおそうとする人が戦争を起こしあう気持ちも少しはわかった気がします。異文化を理解しあうのは難しいけど、違うことを理解して受け止めることが大事だと思いました。

Comment:信念を持つことと、他者を「理解」し、「リスペクト」できることは少し違います。自分が他者に理解されていて、リスペクトされているかはわかるもので、それを感じられたなら、例え同じ考えや価値観を共有できない者同士でも共存の道はある反面、それが感じられないと、”敵意”が芽生えたり、諍いにつながる可能性が高くなります。

「考える力」と「問題解決力」についての反応

授業のあと自分たちで反省会をした時、授業時の反応を見て、この二つのテーマをぶち込んだのは間違いだったかもしれないという声が出ました。90分という時間の中、高校生に対して投げかけるには高度な話すぎたかもしれない、と。

しかし、アクティビティを通じて”伝える”ための仕掛けはしたし、それがボクが「伝えたいこと」だったのだから、入れたこと自体は悪くなかったと思っていた中、このことへの反応もいつくかありました。

生徒の声
大きな異文化に目を向ける前に近くの異文化で考える力、問題解決力を養っていきたい。

Comment:今、EXSではこれらの力を養成することに特化したプログラムに力を入れています。大学生になったら是非プログラムへご参加ください!(セールス笑)

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異文化は日本の中だけでも存在していて、身近にもあった。

その中で相手をリスペクトし、相手との違いに気づける事が大切だなと感じた。そして気づいたことを考え、問題解決をする事ができるやわらかい頭を持つべきだと思う。

Comment:異文化が混ざり合う国際社会の場で活躍するにはflexibility、つまり柔軟性はとても大事だと思います。もし仮に相手に柔軟性がなかったとしても、自分側に高い柔軟性があればより多くの他者と上手にやって行けます。

「気づき・考える力・問題解決力」をしっかり入れてこれからも国際理解の授業を受けようと思った。

Comment:たったの90分の授業で全てを伝えるのは難しかったため、自分としては「国際理解初級編」というイメージで授業構成をしていました。土台になる何かしっかりしたものがある上で、国際理解というテーマと向き合っていただく方が今後の授業の内容も意味が変わってくるだろうと思っていました。そういう意図もあったので、この様なコメントも授業をやらせていただいてよかったなと感じさせてくれます。

授業が楽しかったっぽい感想

自分もかつては高校生でした。好きな授業もあれば、つまらない授業もありました。

なので、生徒目線で考えると、ボクの授業が退屈だった可能性もあることは重々理解できるので、そういう意味でも「どやったんやろー?」というのは気になるところでした。

そんな中で、ボクの授業が楽しかったっぽいフィードバックも結構あって、嬉しかったので紹介します。

ディベートをしたとき、自分以外の考えを持つ人を説得させるのは本当に難しいんだなと思った。それぞれたくさんの意見が出たのでディベートをしていて楽しかった。

Comment:「世界一受けたい授業」を目指して授業構成を考えていましたが、アクティビティを通して、体感的に、実感的に大切な何かに気づいてもらえたら、と思っていました。そしてそこには「楽しく学べる」ことも含まれていたのでディベートが楽しく感じていただけたのは良かったです。

今まで国際理解っていってもよくわからなかったけど、今回の話を聞いて少しわかった気がする。

Comment:すごくポジティブに解釈していますが、ボクの授業以前の授業を受けながら、「国際理解ってなんぞや?」という状態だったけれど、ボクの授業で少し国際理解のなんたるかを感じてもらえた様で様々な仕掛けを考えて良かったなと思いました。

帰国子女である経験を活かした話で、とてもわかりやすかったです。

いきなり国際理解をしようとするのではなく、身近な文化の違いを理解していくという取り組みから始めている事は、とても良いと思いました。

例が簡単でわかりやすく、とても良かったです。

異文化、それは学校内、クラス内、隣にいる人でさえそうだという視点はすごくおもしろかった。

Comment:まあまあ褒めちぎっていただいていますが、身近な話題だったり、自分が感覚的にわかることから「気づき」が生まれ、ひとたび気づいたら、今まで見ていた世界が違って見えることってあることなんです。それを知ってもらうこともボクが意識したことでしたので、わかりやすく入っていった様で良かったです。

今回の授業を通してこれから外国との文化の違いや宗教の違いについて理解を深めていき、もっと勉強したいと強く思った。

Comment:今回の授業で話した事が何かのきっかけになった様でとても嬉しく感じます。

国際理解という授業はこれからきっと大変に大切なものになると思う。是非多くの生徒や先生にも受けてもらいたい。

Comment:これはボクが担当した回だけのことを言っているわけではないかも知れないけれど、国際理解という授業を生徒ばかりでなく、先生にも受けるべきと感じていただけるのは嬉しい事。同じコメントの中に「異文化理解はすごく大切だ」と繰り返していましたが、学校内や生徒間にも存在する異文化や理解されていないことからくるフラストレーションを感じている様で、だからこそその大切さも感じているのですね。是非ご自身の経験を踏まえて世界とやりあえる国際人になっていただきたいなと感じます。

Miyanagaさんや外国の方の日本人に対する疑問を聞いて、国際理解について考えることができて、初心に戻ることができました。

今回の話を聞いて前より海外に行ってみたいという気持ちが強くなりました。大学生になったら留学やボランティア活動に参加したいので、英語等外国語の勉強はもちろん、他国の文化、習慣に肯定的な気持ちを持つことを心がけようと思いました。

Comment:今回の授業もそうですが、EXSでは海外研修プログラムは「気づき」の手段の一つと考えていて、プログラムを通じて何かに気づいたり、新たな気持ちを芽生えさせることができたらこれ以上ない成果と捉えています。大学生になったら是非EXSにご相談いただけたら嬉しいです!

今回の話を聞く事で、自分が他者を理解できているのかがすごく疑問になりました。相手がなぜその考えを貫こうとするのか、それを考える良い機会となりました。

Comment: 日本人に足りないスキルの一つに「疑問を持つ」というものがあるのではないかと思っています。多くのことをすんなり受け止めてしまいがちだと。逆にいうと、平凡な日本人的思考から脱却する第一歩として、何かに疑問を持つ、持つ癖をつける、ということが有効ではないかと考えています。これまで疑問に感じなかったことに疑問を抱いてもらえたなら、それだけでも今回授業をした甲斐があったな、と感じました。

その他の気になったコメント

16人中、13人分しかフィードバックをいただけませんでしたが、その中でも色々な意見が書かれていて、気になったコメントをピックアップしていこうと思います。

アメリカから見ると堅苦しいとか言ってたけど僕はアメリカより日本の方が楽だと思う。なぜなら、ルールで決められたようにやっていればうまくいくから。アメリカだったら全て自分で考えて自分で行動しなければならないのはたいへんだと思う。でもその反面、やりがいとか達成感とかはアメリカの方があると思う。

Comment:一見否定的意見に見えるフィードバックで目立ちました。実はこれ、多くの日本人の本音だと思っていて、少し前になりますが、「自由」というテーマで日本の高校生に授業をしたことがあります。

制服もそうだし、校則もそうですが、おそらく今の日本人からこれらを取っ払ってしまうと急に右往左往してしまって、何もできなくなると思います。それは、ここまでルールでコントロール”してもらってきた”からです。

ルールやガイドラインがないことはイコール自分で考えなくてはいけないということで、その、自分で考えられる力が今の教育システムでは教えられていないため、急に無防備な状態で放り出されてしまうと、今の日本人は裸で北極に放り出されたかの様に、一瞬で凍え死んでしまうかも知れません。

自由である事は諸刃の剣で、可能性が圧倒的に増える一方で、リスクも同じだけ増します。

やりがいや達成感はおっしゃる通り伴う可能性が高い反面、そこに到達するための苦労や努力は計り知れず、失敗し、挫折してしまう可能性も高いわけです。

授業で「何か質問はありますか?」と言われて質問がないのが日本では当たり前だけど、アメリカでは質問が絶えないということを聞いて、なんで日本人は質問をしないのだろう?と考えた時に、話に興味がないわけではないけど、深く考える癖がついていないのかなと思いました。

Comment:この、癖こそが日本流教育の結果だと考えています。いわゆる詰め込み教育というものですが、知識を記憶していくという基本路線の中に、先に触れた「疑問を持つ」ことも、「ゼロから考える」ということもほぼ含みませんね。

「日本で一番高い山は富士山です」と教えられ、なんら疑問を持たずに「日本で一番高い山は富士山だ」とメモリーするのが日本流の学習です。このやり方で世界第3位の経済力を維持しているのですから全くもって間違っているという事は言えませんが、場面によってはこれでは通用しなくなってきているのが今の日本の問題で、教育指導要領に大きなメスが入る日も近いとも言われています。山の話をすると、”標高”世界1位はご存知エヴェレストですが、山のデカさで言うなら、つまり山の麓から頂上までのサイズで言うなら世界1位はエヴェレストじゃないですからね。「世界一の山はエヴェレストだよ」と教わり、鵜呑みにしていると現実が見えていないということになっちゃいます。

学校の先生であれ、何かの師匠であれ、どれだけ尊敬する先人の言葉でも、疑問を持つと言う姿勢で話を聞くこと、それも今後真の国際人を目指すなら重要なことではないかと、ボクは考えています。

日本人はみんなと同じ意見を持っていないと不安になり、違う意見を言えないことがアメリカ人にとって理解できない点だという事にも納得です。(中略)日本人も、言う意見を行っても冷ややかな目で見ないような社会になってほしいです。

Comment:「横並び」と言うキーワードを出してこの点に触れましたが、日本は他と歩調を合わせることを良しとするところがあり、逆に乱すものは目をつけられますね。これに関して2つほどエピソードを用意していましたが、時間の都合で話せませんでした。どちらかが必ず100%の正解で、どちらかが完全に間違っていると言う話ではありませんが、国際理解というテーマであれ、異文化理解というテーマであれ、”みんなと同じじゃないとダメ”という考え方にボクは居心地の悪さを感じます。おっしゃる様に、少なくとも意見を言って、冷たい目で見られる様な環境だと、新しい面白いものはなかなか生まれません。それが今、世界と競争力のある企業が減っている原因の一つではないかと感じるので風穴、開けたいものです。

まとめ

最初に書いた通り、当日の生徒たちの反応(レスポンス)から、滑った疑惑を持っていたし、自分たちでの振り返りの中で、戦略ミスも感じていました。なので、そこから比べると大幅に良い感じのフィードバックが集まったな、と言う印象です。

というか、「反応薄だったけどそこそこ伝わっていたのか?」という感じですね。

まあ、先生に提出し、ボランティアで授業をしてくれた人が読む想定の感想文にそんなに酷い悪口を書く事はないでしょうし、必死に良いところを探して書いてくれた可能性も多々ある以上、手放しで喜べませんが、色々な声が聞けて良かったなと感じました。

紹介した声の中にもありましたが、ボクは国際理解に通じるスキルや考え方の中にはその他のフィールド、場面でも活かせるものがあり、今回は16人しかいませんでしたが、学年全体に向けての講演でも同じ様なネタは使えます(使ったこともあります)し、学生でなくても先生だったり、社会人の方でも聞いて、「気づいて」、様々なものを「理解する」様になっていただく事は重要な事だと思います。

今後もEXS及びLeo Miyanagaはこの様な特別授業だったり、講演を含め国際交流事業を中心にそうしたところに気づいていただける様な活動を積極的に続けていきたいなと思っています!

講演、特別授業のご依頼はこちらから↓↓

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